転職の風景 - シンクロニシティ
昨日姉と食事をした。
姉には二人娘がおり、既に二人共社会人となっている。
父が先日認知症と診断されたこともあり、先月と今月続けて姉と食事をし、主にその事に関わる情報共有などをしてきた。
先月姉と食事をしたときの別れ際に妹の姪エヌが合流した。
わずか数分の会話だったが、僕は翌日に今回内定を受諾した企業アイ社の最終面談を控えており、その旨を伝えた。
すると、エヌも次の転職にはアイ社を考えているという。
僕はその瞬間にアイ社に転職することになるのだろうと直観した。
その時点で並行して4、5社の面談を進めており、どれも順調であり、どの企業を選ぼうかという高飛車な状態だった。
結果的にアイ社以外は、すべて落ちてしまったのだが。
昨日の姉との食事の際、今度は姉の姪ワイからLINEが入った。
何回目かは定かではないが、面談の日に同じビルで僕を見かけたというのだ。
俗にこういう奇妙な偶然を伴う符号のことをシンクロニシティという。
日本語では共時性という言葉をあてると遠藤周作は書いていた。
転職する際には、職務経歴書やそれに伴うスキル、景気、ヘッドカウント、面接官との相性等、様々なパラメータ(媒介変数)が作用する。
しかし、僕はどのパラメータよりもシンクロニシティを重視している。
先程、共時性という術語をあげたが、古くからは「縁」といわれてきたものに違いない。
どれだけ、スキルマッチしていても、どれだけ心象が良くても、「縁」がなければ選考には落ちてしまう。
アイ社の最終面談のとき、最後に僕は次のような質問をした。
「御社で今後どのようなキャリア形成をお考えですか?」
くだらない質問だ。
それにも関わらず、面接官は真面目に考えてくれ、「前社ではアイ社の開発をメインにやっていたので、今は開発自体ができない歯がゆさはあるが、ずっとこのままでもいいかなと考えている」と答えてくれた。
「前社というのは、ジェイ社さんのような会社ですか?」と僕は尋ねた。
面接官は驚いたように「なぜジェイ社をご存知なんですか?」と尋ね返してきた。
僕は前々社の転職活動の際、ジェイ社を受け、なんと生意気なことに一次面接合格後にお断りをしていた。
ここにもシンクロニシティが現れた。
それを機に最後の数分話がはずみ、僕は何故か内定獲得を確信した。
決まるときは、そんなもんなのである。
転職を考えている人はくれぐれも軽はずみに活動して欲しい。
動けば動くほどシンクロニシティを拾う確率が高まるものと僕は信じている。