転職の風景 - 最終出社日

今の会社は社歴が2番目に短い会社。今度の会社で7社目。

正直に言わなくても、今の会社に何の愛着もない。

事の発端は、入社半年後に遡る。僕は入社したばかりの今の会社の吸収合併のニュースを聞いた。
目にしたのではなく、同僚からまさしく聞いた。

しかも吸収合併する相手は僕が直前に所属していた会社の直前に所属していた部門だったのだ。

目眩がした。何もいいことはない。

実は僕は以前の会社でもほぼ同様の経験をしている。自身の不幸を呪ったが、呪ったところで何も始まらない。
僕は粘れるだけ、粘ることに決めた。

その意志を捻り潰すかのように、合併後半年余りで、自身が所属する部署に近い営業人員の9割方が会社を去っていった。

僕は完全に孤立していた。外に動く他なかった。

幸運だったのは市場が近年稀に見る売り手市場であったことと、志望動機にブレが出なかったことだ。

志望動機をもっともらしく語るのには、それなりの経験とスキルが必要だ。
だが、今回ほど、リソース減がはっきりとしている場合には、志望動機を説明するのに経験もスキルも必要ない。

今回は都合5、6社まわった。

まずはエージェントへの登録。僕はここ10年来ビズリーチを使っている。

www.bizreach.jp

使用感は可もなく不可もなくといったところだ。

ここに社歴とそれぞれの会社での業務経験を記述した職務経歴書に相当する内容を入力しておくと、エージェントや会社自体からスカウトがかかる。

面倒がないのは、相手もある程度職務経歴書に目を通したうえで、書類選考で落ちる可能性が低いことだ。
ま、電子版を送付するだけなので、書類選考の手間も何もないのだが。

その後一次面接に入る。

大抵がジェネリックな内容で、先に述べた志望動機やこれまでの業務経験を聞かれたうえで、質疑応答という感じ。
ここで話が盛り上がらなければ、あっさり落ちる。

今朝Twitterでもつぶやいたのだが、エンジニアはわからないことがあると、そのまま「わからない」と答える傾向が強いようだ。

まず、面接官に「わかりません」とバカ正直に答えるまさしくバカはいないだろうが、答えに窮した時には、ウソかつ明後日の方向で全然構わないから、「○○という理解で正しいですか?」と理解できない自分に非があるフリをしてあげるのがいいと思う。

そうしてやると、たまに「はい。そのとおりです」とか、「中々よくご理解されてますね」という答えが返ってきて驚くことがある。

あと、適度な「笑い」は必須だと思う。相手が笑わないまま終わる面接で受かったことはないように思う。
「笑い」といっても素っ頓狂なことを言えばいいというわけでもない。

適切な「エンジニアリング・ジョーク」が必要なのだ。

いま「エンジニアリング・ジョーク」という言葉を読んで、心の中でクスリとしなかったあなたはセンスがない。(嘘)

では「エンジニアリング・ジョーク」とは何か?

ここに例をあげよう。

ソ連時代に男二人がパンを求めて行列に並んでいた。
一人の男が「もう我慢ならない。ゴルバチョフを殴りに行ってくる」と行って、行列から離れて行った。
ところが、しばらくするとその男は戻ってきた。
「どうだった?」
「あっちは、もっと並んでた。」

これのどこが「エンジニアリング・ジョーク」なんだ?と思ったあなたにはセンスがある。

なぜならば、これは「ロシアン・ジョーク」だからだ。
これを見抜くのがエンジニアのセンスなのである。(本当)

ここまで書いておいて言うのもなんだが、こういう軽薄な態度は面接官にとても嫌われる。

あなたがどう思おうが勝手だが、僕は少なくとも6回以上のオファーを受け、今もこうして外資系企業に属する社会人として生きている。

そして、今日は6つ目の会社の最終出社日なのである。
ここまで読んでくれたあなたには僕の今後の幸運を心の中で良いので祈って欲しい。

ここまで読んでくれて、どうもありがとう。